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ITSSについて

ITSSというのが、流行っております。
今は、人材育成をコンサルティングの柱にしている関係で、ITSSについて少し調べています。
はっきり言って、問題山積です。

今まで、IT業界は何人月という”通貨”が広く流通してきました。
円ドルやユーロなど、為替の様に、力の強い(価値の高いサービスを提供できる?)企業は、高い単価を請求できるのですが、あくまで、すべて人月のレートが違うというだけです。
一応、新人とベテランは基準価格が変えたりもしますが、これとても、経験何年、年齢何歳以上なのでAレベル、といったあやふやなもので、勢い、優秀なエンジニア1名にそうでもないのが数名セットで販売というのが、通り相場になります。(一応チームという名の下に)

人月システムは、優秀なエンジニアは腐る、客ははずれを掴ませられる、SI側は売値を上げられないという、みんなが不幸になるシステムです。しかも、どれだけ働いたかが、時間で測定されるので、生産性を上げると単価を切り下げられるという、とてもとても後ろ向きの”素晴らしい”システムです。でも、見積もりも簡単でチェックも簡単、それに、今まではなんだかんだ言って、会社を信じて頑張ってきた優秀なエンジニアが沢山いたので、人月システムは上手くいっていたのですね。ただ、会社が平気でリストラする時代には、各エンジニアは売れるスキルの獲得に走り、機会を見て逃げ出しますので、スキル空洞化の危険性が高まっています。

そこに、IT技術者のスキルを測って、レベル付けをする標準を国(経産省)が制定するというわけで、特に人月単価を少しでも上げたいSI企業が食いついている状況です。
また、スキル獲得を旗頭に、教育産業が飛びついています。

ただ、ITSSは非常に細かく職種と専門分野があり、細かくレベル分けもされているので(11職種38専門分野7レベル)実際に活用するには細かすぎますし、それでいて完全では無く(細かすぎる故に抜けがでる)、レベル分けも曖昧(厳格にしようとして数値化に走り、むしろ無意味な指標になっている)で、とても使いにくくなっています。

また、いろんな業界・団体がIT業界にある問題を解決するためにITSSに期待・要求することが多すぎて、なんだかよくわからないものになっていると思います。(IT業界の悩みを一手に解決する魔法の杖状態)
オフショアに流れる仕事に対する防波堤の役割をITSSが担っているという話を聞いた時は流石に目が点になりました・・・

私的には、適正見積作成のガイドぐらいが適当だと思います。
家を建てるときとか、柱は素材が何で、1mあたり幾らだから・・・といった具合に、見積根拠を示して積み上げて行って総額何千万円とかやるじゃないですか。(当然、作業費も積み上げられて)
それに徹すれば良いと思うのです。
プロジェクトやシステムを完成するには、これこれの作業が必要で、その各々には、これこれのレベルの技術と作業を提供するので、総額幾らという具合です。

それが、今の流れは、だれそれはどの分野のレベルなんちゃらだから、という具合で人の方に重点が行っているから、そのレベルは誰が認定するのかとか、そんな技術項目では足らないのでは、と話がどんどん発散しているように感じます。
レベル認定なんか必要ないんです。サービスを提供する会社が責任を持って実現すればよい話で、レベル認定された人をアサインすれば上手くいくという発想はちと違うのではと思います。(資格を取るために勉強ばっかりしている暇な人にろくな仕事ができるわけが無い・・・というのはうがちすぎですか?)

既に細かくなりすぎているので、内容を説明するだけで飯の種になるのではと秘かに考えている私でした。(^^;