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米中の石油戦争

日高義樹の「米中石油戦争がはじまった」を読んだ。

日高レポートというかたちで、アメリカの世界戦略を色々なトピックスに絡めて番組を通じて伝えている作者だが、この本は面白かった。

今、冷戦の崩壊後の世界は、石油の取り合いを軸に、アメリカと中国の戦いが始まっているという説明。

急速に経済発展をする中国にとって、石油は必須の資源。既にアメリカに肩を並べるほどの消費国になろうとしている中国が、今後の成長を続けると2倍・4倍と消費量を拡大する。そのために、石油をはじめとする資源を供給してくれる国との関係を強化している。が、その国は、イランやベネズエラ、ナイジェリアやサウジアラビアなど、アメリカにとって、最も扱いにくい、非民主的な専制国家群であること。

また、アメリカにとっての頭痛のたねは、
・中国はアメリカの言うことを聞かない(コントロール不可能)
・アメリカのドル支配に伏さない。(中国が黒字を上げることは、ドル経済圏にとっての打撃になる)
特に、アメリカは、消費拡大⇒赤字増大⇒連邦債の発行⇒アメリカへの投資 というサイクルを通じての経済の拡大を続けているが、そこには、貿易黒字を連邦債の購入や米本土への投資によって、還流する友好国(例えば日本)の存在が絶対的に必要。その裏づけにはアメリカの軍事力による支配構造がある。
 ところが、中国には、この構図が有効ではなく、アメリカの赤字=ドル経済圏の縮小につながる危険性がある。
 そのため、挑戦する非効率資源消費大国中国と大借金・軍事大国アメリカの戦いは避けられないという分析。(重商主義・帝国主義の本質を持つ中国と民主主義が国是のアメリカは相容れない)

・日本にある米軍設備もできれば、逃げ出したい(中国のミサイルが飛んでこないところへ)
・韓国は既に、アメリカにとってはどうでもよくなっている。
・台湾問題も、国民党政権に対するトラウマが原因での過剰反応
など、読みどころが一杯で、1日で読んでしまいました。

まあ、それでも最後はアメリカが勝つという、アメリカびいきの日高さんらしい結論になっているけれど。

ただ、歴史上、経済の発展⇒軍事大国化⇒覇権の確立⇒大借金国⇒転落というのは、スペイン王朝をはじめ、イギリスなど、法則化しているので、現在のアメリカの地位と未来は危ういものであることは確かだと思う。

ただ、覇権国家が転落するとき、大戦争が起きるのが通例だから、心して未来に備える必要があるでしょう。 グリーンスパンの引退で、経済の失速が引き金になる可能性は高いので、残された時間は意外と少ない。