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グローバリゼーションは黒船であった

バカ太郎解散の結果、記録的な大敗北を自民党は喫した。
それでも、石にしがみついてでも、有力政治家は復活当選してきて、当初320越えという出口調査の民主党議席が結局308議席に留まったのはさすが・・・かな。

歴史に全く同じということはないことは百も承知で言えば、今回の自民党大敗は、明治維新の大政奉還・鳥羽伏見の戦いと同じ構図、歴史の転換点に見える。

それなりに安定して効率もよく平和な官僚組織を作り上げたという意味で、徳川幕府と55年体制は歴史の双璧をなすといえる。

最近の研究で、江戸時代の行政が思ったよりも効率的で極めて優れた統治システムであったという見直しが進んでいる。町奉行の絶大な権力と激務(過労死も多かったとか)、更に北町奉行と南町奉行による交代制による相互チェック、簡素で効率的な組織など、江戸幕府はベネチアやローマに並ぶ世界史上最優秀の統治システムだったかも知れない。(私がものを知らないので、他にももっと素晴らしい政治システムがあったとは思うが)

ただ、如何なるシステムも経年疲労による、その使命を終えるときがやってくる。
それが幕末の混乱から明治維新へとつながっている。

当時、勝海舟が活躍しているが、夢酔独言で有名な父親、勝小吉は街の遊び人、ほとんどやくざに近い人物。それが最後は幕府を代表して、無血開城の交渉を成立させている。逆にいえばそれだけ人がいなかったということだ。 
 人気の新撰組にしても、多くが農夫あがりで、ただただ剣が使えるというだけの得体のしれない集団。それが、上洛する将軍の警護のために結成されたという。 本来の旗本は何をしていたのか・・・。

自民党にしても、政官財のトライアングルによる強力な統治機構は、一方では腐敗の香りを漂わせながら、敗戦国日本を世界第2の経済大国、平和で文化的な最長寿国に導き、繁栄を謳歌していた。

しかし、かつて武勲によって禄を食むことになった武士階級が、官僚化してその本来の能力を喪失したがごとく、自民党の政治家も、政治家たる能力を喪失して利権の運搬人となり果ててしまったのが、昨今の状況ではないのか。

多分、黒船が来るまで、いや鳥羽伏見の戦いで徳川慶喜が逃げ帰るまで、幕府に属する武士は、自らの政権(仕事・権限)がなくなるとは思っていなかったに違いない。
毎日、過去から引き継がれてきた前例に従って、大過なく日々を送れば、子孫に自分の同じ地位とわずかな老後の楽しみが得られると考えていたに違いない。

このアナロジーを使えば、この先の世の中の動きが少しは見えてくるのではないかと思う。

まず、泰平の世を揺るがした黒船。 それは、ベルリンの壁崩壊から始まった東西冷戦の終結とそれに続くグローバリゼーションという名の”不平等条約”。
そして、その影響から発生する経済の大混乱。一部の商人は横浜での外国貿易で巨万の富をえるチャンスに恵まれる一方、物価の高騰によって庶民の生活は圧迫されて、その混乱が結局幕府を倒す。 これは、昨今のデフレと自民党政府の転倒と同じ。

そして、江戸幕府を終結に導いたのは誰でもない、決して将軍にしてはならぬと定められた御三家水戸家による原理主義的倒幕運動。
これは、そう、長年非主流の福田派で奇人と言われた小泉純一郎による自民党をぶっ壊す行動。(本当にぶっ壊してしまいました・・・)

最後の将軍は、神君家康の再来といわれながら、実に優柔不断で、実は最短任期であった15代将軍慶喜。 吉田茂の孫がいましたな、そういえば。

かつては犬猿の仲と言われた薩長が倒幕でまとまった雄藩連合。
これも、今の民主党の過去を調べれば、左派・リベラル・右派といった軸でくくれないほどバラバラな勢力が結集していますな。

で、実は勢力的には、薩長と幕府は差がなかったのに、あれよあれよの大敗北。内戦の長期化による暴利を望んでいた死の商人たちが歯噛みをしたという明治維新。
これも、”今でも”支持政党では第1党の自民党がなすすべもない大敗の姿に被る。

で、これからどうなるかといえば・・・

・社会システムの大混乱 → 約5~10年の経済・政治の混乱
・士族の商売(失敗) → 公務員の民間化と悲惨な末路
・版籍奉還や地租改革など大胆な制度改革 → 苦し紛れの大ナタ、制度改革
・富国強兵による不平等条約の改正 → グローバリゼーションへの過剰適応
・大陸への進出 → アジア外交の活発化、中露との衝突?

とまあ、ほとんど与太ですが、江戸は関東大震災によって滅んだと言われてます。逆にいえば、明治維新は統治階層には大きな影響はありましたが、一般レベルにはあまり変わりがなかった(丁髷がなくなってザンギリになった程度?)とも言えるので、少しの混乱と経済的困窮は覚悟が必要ですが、大きなところでは、変わらない(明日も東から日が昇る・・・)ではないでしょうか。

それにしても、大きな転換点に立っていることよ。