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政治的天才の秘密 ~ヒトラーの大衆扇動術~

まあ、カバーをしないで電車で読むのは勇気がいるかな?

ヒトラーの大衆扇動術
許 成準
彩図社

昔、小室直樹がテレビでヒトラー礼讃をやって、物議をかもしたことがあったが、まあ、彼の主張は確かに正しい。
今では、悪魔の数字666と結び付けられるなど邪悪な存在のヒトラーではあるが、昔からの疑問として、何故あんな短期間で権力を握ることができたのか、しかもあのドイツで・・・というのがあった。

結局、現代の政治家のモデルタイプを作り上げたのがヒトラーだった、というのが答えになるのかな。
近代オリンピックの父も実はベルリンオリンピックを演出したヒトラーであり、徹底したイメージ戦略を駆使して大衆をひきつけるという政治手法も、大々的な景気対策を行って生活の改善を与えることで支持を得るというのも、各種メディア戦略を駆使することも、感情に訴えて単純明快な主張を繰り返すことで洗脳をすることも、すべてヒトラーが始めたことなんだな。
それに、外部に敵を作って団結するという古くからの政治手法も効果的だったみたい。

この本の秀逸なところは、ヒトラーの成功を、彼が単なる大衆運動家ではなかったこと、利益と恐怖(共産主義)を資本家に与えて資金という強力な支援を取り付ける冷静・冷徹な知性を兼ね備えていたことだと、より深く分析して説明しているところだ。

この本を読んだあとでは、ヒトラーはみんながカンニングをした優れたオリジナルだから闇に葬ることにしたのかなとうがった感想を持ってしまった。(ノウハウは知っている人間が少ないほうが価値がある。)

元々韓国で出版されたものの翻訳らしい。 最近、サムソンなど韓国の財閥系企業が好調なのも、この本を先んじて読んでいるからではないかと思うぐらい、面白い本です。


1件のコメント

  1. そういえば小室直樹
    こんなところで小室直樹を思い出しているが、9月に亡くなったということで、黙禱。

    ただ、Twitterでは死亡直後に情報が流れていたが、新聞は2週間以上後に記事になっていたのが、らしいというか、時代というか・・・

    どんなに勉強して優秀であっても死んでしまえば知識は消えてしまうし、人生は短いと思う今日この頃

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