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年別アーカイブ: 2015

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ギリシア人の物語Ⅰ 民主政のはじまり

本当は全部読んでから書くべきで、買って数ページ読んで書くのは反則。
でも、書きたかったのは、なんで塩野七生はカエサルかアウグストゥスでローマ人の物語を止めなかったのかというはなし。
ボルジアやベネチア、フィレンツェなど中世イタリアを描いていた頃が作家としての頂点だったのかなと思う。 ローマ人の物語をライフワークにしたかったこと、特にカエサルを描きたかったことはわからないでもない。 しかし、そのあとは、義務感で書いていたのではないか、そのために、他に書くことができたはずでは、と思ってしまう。
(どうせなら、東ローマを滅亡まで書いてくれたほうが面白かったかもという矛盾したきもちもある・・)

それだけ、待っていた作品が出たということでもある。

ヨーロッパはグレコローマンとキリスト教とゲルマンが融合して出来たと習ったことがあるが、今でもローマの末裔はイタリアをはじめ各地にいるが、”偉大な”ギリシア人の末裔は、どこにもいない。
その失われた幻影を如何に描くか、興味がつきない。(最後まで完走を願う)

ギリシア人の物語 I 民主政のはじまり 塩野七生 新潮社
¥2800+Tax ISBN-978-4-10-309639-9

ヘンタイ美術館

山田五郎は僕の好みだ。 タモリやみうらじゅんやそう言ったマイナーだけど深い世界を提示してくれる人は大好きだ。
だけど、今回この”ふざけた”タイトルの本をてにして認識が改まった。
山田五郎の美術に対する造詣は只ならぬものがある。
例えば、当たり前なのかも知れないが、ルネッサンスの基準はラファエロであり、ダビンチやミケランジェロは傍流であるといった話はなかなかきけない。
アングルやドガ、マネの内面にまで踏み込んでたけし軍団を引き合いに出す柔軟さ。
西洋絵画の歴史をこんなにコンパクトに明晰に示してくれた書物は見たことがない。 タイトルがにだまされてはいけない。

ヘンタイ美術館 山田五郎、こやま淳子 ダイヤモンド社
¥1500+Tax ISBN 978-4-478-06608-9

珈琲店タレーランの事件簿

やっと読み終えた
長い期間読み続けて未だ読み終えていない本はあまたある。中には中学の頃から読みはじめているダンテの神曲のようなものもあるが、まあこれは挫折したというのが正しい。
しかし、タレーランは正真正銘、読み続けて(正確には持ち続けて)いた本で、続編が出れば買いで既に4冊あるのに、やっと1冊目を読み終えた。

美人バリスタがいれるコーヒーと謎解き。

面白い、が少し違和感がある。
事件の動機に不自然さがあると思う。
人間心理の深い部分を描こうとして、滑った感じ。

まあ、しかし、描かれている世界は美しい。薫るという言葉がぴったり。人物も情景も細かい蘊蓄も。
それだから、延々と少しずつ読み続けていられたと思う。

カバーのイラストも秀逸だが、イメージが固定してしまう危険性も。

まだ、3冊も残っているのは幸せなのか・・・

珈琲店タレーランの事件簿 岡崎琢磨 宝島社文庫
¥648+Tax ISBN 978-4-8002-0072-3

談志が死んだ

まあ、面白い。 なにがって、談志が。

よくもまあ、こんな男の弟子だったもんだなと尊敬さえ覚えてしまう。
とにかく、ケチで見栄っ張り、わがままで小心者、短気で言い出したらあとにはひかない、それでいてとにかく天才、落語愛にあふれて、誰よりも芸に鋭く純粋。寄席から追放されても個性の強い多くの弟子を世に送り出し、笑点を始めたアイデアマン、政界さえもしくじりの対象、騒動を起こしてもそれをネタに生まれ変わらせる芸能の神。ついには、その声を失うというドラマ性。
ただ、どこか”判断”を家元に委ねているのが一門の欠陥か。
師匠の罵声一つで震え上がる世界がまだあることに驚く。

最後の最後に”あれこれって小説なの?”となる。

どこまでがFactでどこまでがFictionかもわからないが、こんな話は”作れない”と思う。

談志が死んだ  立川談四楼 
新潮文庫 ¥520+Tax ISBN-978-4-10-127322-8

2015年 中国の真実

今後の中国がどうなっていくかについて知りたい場合は、この本を読むべし である。

長谷川慶太郎の”中国ダメダメ”論のようには明確に未来像を断言しているわけではないが、地に足がついた詳細な情報に基づいて今の中国と周辺国の今の状況と近未来を描いている。
習近平の愚作により反中国同盟が形成された、といった昨今の表面的で楽観的な見通しが世の中には流れている。(日本の願望もそこには入っている)。
本書はそれだけの立場にはたっておらず、各国の微妙なポジションと内実について触れているところはさすがである。
また、権力闘争がすべて”であるという中共の本質にも触れていて、なぜ外交的に”あんな愚作”を繰り返すのかという疑問に間接的に答えを出している。

ただ、特に、石平さんの習近平たたきは個人的怨念があるのかと思うくらい。宮崎さんにしても、独自のスタンスで持論(たとえば第七艦隊購入論)を展開しているので、割り引いて読む必要も当然ある。 が、本書の価値がそれで下がるわけではない。

世の中には想像もできない悪者がいるという前提にたてば、最悪の中共が最悪のたくらみを続けながら、簡単には倒れないという可能性にも備えておく心構えが必要と思わせられる警世の書。

2015年 中国の真実 中国は習近平に潰される? 宮崎 正弘・石平 WAC出版 ¥900+TAX  ISBN 978-4-89831-704-4

中国壊死

宮崎正弘・宮脇淳子による歴史からみた中国の診断。

一番残念なのは、これからどうなるかのシナリオ・シュミレーションがあまり書かれていなかったこと。 まあ、二人のことだからか、知っていることや考えは持っていると思うが、この程度の書籍にはもったいないし、怖くてかけないよね。

それ以外は、期待通りの”新たな”知見に満ち溢れている本でした。

特に、かつてのモンゴル・元朝と今のモンゴルとは連続性が乏しいということや、みんなが期待(?)するほど満州・ウイグル・チベット・モンゴルが決起して中国が漢民族の本来の領域に分裂するのは難しいといった”地に足がついた”評価も一読の価値あり。

まあ、バラバラにならないから、内側から壊死するわけだね。

カタストロフィー理論というのがあって、不連続な変化がどこで起きるかはわかる方法はないというもので、それをネタにロバートゲラーが地震予測は無意味と噛み付いていたのを思い出した。 もうすぐ倒れるのは分かるがいつ・どんな形で倒れるかまでは分からない崩れかけの煙突みたいなもんなのだな、中共は。

それにしても、20世紀最大の民族浄化はナチスではなく、中共でしかも現在進行形。 明治の御代まであった大帝国清朝を作った満州人は消されてしまった。

中国壊死 ビジネス社 ¥1,100+Tax
宮崎正弘・宮脇淳子 ISBN978-4-8284-1851-3

世界は邪悪に満ちている

日下さんと高山さんの対談集。
まあ、日本に生まれて育ったことがどれだけ幸せなことであるか、世界は如何にひどい人たちが、悪意を持って、略奪を繰り返していることか・・・

この二人に話させると止まらない止まらない。
人種差別とキリスト教に基づき、寛容とまったく逆に位置する西洋列強の、そして究極のアメリカの本性を抉り出している。 敗者は奴隷化と殲滅。九属皆殺しの中国とは西部開拓という名の無法者たちの末裔アメリカとは共感することが多いのだろうと思う。日本の様に話せばわかる、共存を考え、いずれ統治するのだからという民を撫す思想とは相いれない。  最近それでも、日本の良さを称賛するまで海外がレベルが上がってきたと思うべきか。
ここに書かれていることを理解しておくことは大切なことだと思う。
防犯には犯罪の手口を知っておくことが重要なように。

直言・本音対談 世界は邪悪に満ちている だが、日本は……。
日下公人・高山正之
ISBN978-4-89831-730-3 WAC ¥900+Tax

本を読むということ

昔は1日に1冊以上本を読んでいたが、最近は本は買うけどつん読が増えている。 モチベーションを維持するためにも、読んだあとに、メモを書くようにしようかなと思う。 投稿先を、このブログにしようかなと思う。

最弱球団 高橋ユニオンズ青春記

父親から聞かされていた、”そんな球団があった”レベルの知識だった。スタルヒンが所属した球団の物語。

パリーグが8球団だったこと、川崎にあったこと、大映永田ラッパのいい加減さ、そして、オーナの個人所有だったことなど、知らないことがいっぱい。佐々木信也が新人で大活躍したことなど、トンボユニオンズは名前貸しだったこと(ネーミングライツの走り)、最低勝率しばり(罰金があった)とか。

今であればもう少しなんとかなったのかなとも思うが、黎明期の混沌とした雰囲気が味わえる本。

著者が自分より10歳も若いのにも驚いた。 私も生まれる前に解散した球団なのに。

後世、ミンスク会談と呼ばれるのか

今ウクライナについてベラルーシのミンスクで4者会談が行われている。
ミュンヘン会談を連想する人も多いのではないか。

そういえば、ヒトラーのベルリンオリンピック、プーチンのソチオリンピックをアナロジーにつかえそうだ。

ただ、あの時当事者のチェコスロバキアは席に就けなかったのと、
一番の主役アメリカが不在というのが違う所か。
おお、そうだ、当時もソ連が呼ばれていなかったが、参加国の頭文字を並べ替えるとスターリンとなったのは、有名な偶然だ。

ウクライナ自体が現政権がクーデターで成立した政権であることも、大きな違いだな。

ただ、ソビエト崩壊時の核の廃棄から含めて、複雑な約束のもつれ合いが話をややこしくしている点は、むしろ第1次世界大戦の発端、バルカンと事情が似てきている。

いずれにしても、油断ならない。