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手持ちの数学書について:超準解析

どの分野にもまぶしい存在・憧れの対象があると思う。
コントラクトブリッジの世界にBlue Team(Squadra Azzurra)という神々のチームがあり、ベラドンナやガロッツォなどの超人的なプレイの数々と彼らが用いたBlue Team Club システム、そしてその秘密が書かれた 青っぽい表紙の ”The Blue Club” という本。学生の頃は手にすることができなかった本が今、手元にある。
それと同じイメージの本が 斎藤先生の 超積と超準解析 の本。 赤一色の表紙がまぶしく、無限小を既存の解析学に加えることでライプニッツの思想を復活させたという話で、なんか普通と違ってすごい感じが Blue Teamに似ていたのかな・・・

*超積と超準解析:斎藤正彦:東京図書: 9784489011979 :1980 新装版1刷
副題が ノンスタンダード・アナリシス

  1. 集合論の要約
  2. 超積と無限小解析
  3. 超準も出るととくに超冪モデル
  4. モデルの広大化、とくに広大モデルと飽和モデル
  5. 位相
  6. 函数解析

斎藤正彦というと線形代数の本を書いた先生という数学科生も多いと思うが、当時超準解析に関する書籍はこれぐらいしかなかった。はるか遠くの頂を眺めるようなもので、表紙のイメージだけが残っている・・・
解析の本だと思って読み始めると数学基礎論が延々と展開されて目が白黒することに。
実数体 \mathbb{R} に無限小を加えて拡張して ^*\mathbb{R}にするのだから、基礎論の話なんだなこれが。

* Non-Standard Analysis : Abraham Robinson : Princeton University Press : ISBN 9780691044903 : 1995 Revised Edition

本家本元の著作。 
General Introduction / Tools from logic / Differential and integgral calculus / General Topology / Functions of a real variable / Functions of a complex variable / Topological groups and Lie groups / Selected Topics / Concerning the history of the calculus

300 Page弱のPaper Backでサーチしたら見つかったので購入した本。 正直まだ全く読んでいない。この分野の金字塔であることはわかる。またリファレンスにアーベルやアリストテレスの名前が出てくるのも凄まじい。

* Lectures on Non-Standard Analysis : Moshe Machover / Joram Hirschfeld : Springer : ISBN 9783540046134 : 1969


80Page ぐらいのLecture Note です。Type 打ちの原稿を製本した感じ。

The aim of Robinson’s theory / The universe of discourse / The language L / Standard and non-standard system / Enlargemnt of U / Basic topological and metric concepts / Examples / Uniform spaces / Proximity spaces / Functions in uniform and proximity spaces

今ならPDFを無料でダウンロードできるレベルなんだろうと思う一方、手書きやタイプで論文や講義をかみ砕いて理解していたから到達できた理解度というのもあるのかなとも思う。

*Applied nonstandard analysis : Martin Davis : Dover Publications : ISBN 9780486442297 : 2005

Introduction / Universes and Languages / Real Numbers and Hyperreal Numbers / Topological and Metric Spaces / Normed Linear Spaces / Hilbert Space

Hilbert空間までカバーしているので、超準解析の基礎論からその先までが書かれているみたい。
Robinsonと一緒に研究をした人みたいで、最初に To the Memory of Abraham Robinson とある。
初出は1976年。 

このレベルになると、なんでこの本を買ったのだろうという気もしてくる。
多分、揃えておくこと、この分野はやりたい・やってみたかった という気持ちの代償行為なのではとも思ってしまう。まあ趣味ってそういうものかも知れない。

手持ちの数学書について:解析整数論・超越数(2)

数学を志すと専門書は岩波か共立だった時代の話
その中でも共立の専門書は超難解な本がそろっていて、まともに読めた記憶がない
そんな中の一冊

*解析数論:三井孝美:共立出版:ISBN 9784320011298: 1977 初版1刷
共立講座 現代の数学 12 で 副題に 超越数論とディオファンタス近似論 です。

  1. 超越数
  2. E関数
  3. Roth-Schmidtの近似定理
  4. 指数関数と代数的独立
  5. Bakerの理論
  6. 虚2次体の類数問題

学部の頃に”ほとんど、どこを見てもわからない”ことが嬉しくて入手した本だったかも知れない
今見返してみてもハードルは高い。Alan Bakerの原書を読みこなせた者だけがアプローチできる”聖典”のような気もする。 こんな専門書が普通に入手できた80年代というのは素晴らしい時代だったのだなと思う。

*解析的整数論:三井孝美:岩波書店 : ISBN 9784000051774 : 1989
副題が 加法的理論

小さい頃は岩波文庫の☆の数が勲章のようなもので、すべての教養は岩波からという時代に育った。
数学についても数学セミナー(日本評論社)関連の柔らかめの読み物とハードな岩波の専門書を追いかけていた。そんな1冊。 定価4800円ですでに修士を卒業していたはずなので完全に趣味・コレクションの一部として買ったのかなと思う。

  1. イデアル上の関数
  2. 量指標を持つζ函数
  3. 代数体の素数定理
  4. 三角和と平均値定理
  5. Waringの問題
  6. Goldbachの問題
  7. 分割問題

Goldbachの問題は Fermatの大定理同様、簡単に記述できるけど”超絶”難しい問題として有名。
その分野を整理して1つの本にしようというのだから実は大胆で類書がない(かつムズイ)本。
Ramanujanが貢献した分野というのだから、推して知るべし。代数体の素数定理ぐらいまで読めればいいかな 死ぬまでに。

手持ちの数学書について:解析的整数論・超越数

学生の頃から本を買い漁るのが趣味というか信仰の一つだった。
そのため、結構なライブラリになっていると思う。
特に最近の出版事情なり教育状況を見ると私はとても恵まれた時代に生きていたのだなと思う。
世界的な学者・研究者が多くの出版物を世に出していて、それが比較的安価に入手できた幸せを今思う。
(小平邦彦先生の単位を持っているのは私の密かな自慢です。)

おかげで結構なスペースを”宝物”に占拠されていて、その”宝物”には”いつか”が来ることをズーッと待っている状態。
還暦を過ぎて、その”いつか”が永久に来ない可能性が現実のものになってきている。
そこで、少しだけ、その”宝物”がなんであるかを確認したいと思いはじめた。

まずは解析的整数論 または 超越数論 の本について簡単に記述+所感を期していきます

解析的整數論 : 末綱 恕一 : 岩波書店: ISBN 9784000051798 : 1990/11/5 第4刷

私が一番懇意にして頂いた平野先生の専門分野でもある解析的整数論の名著。
1. リーマンのζ函數
2. ヘッケのL函數
3. ディリクレのL函數
4.アルチンのL函數
5. 約數問題

素数分布定理ぐらいは原書購読でやった記憶があるので、その延長線上に輝く名著として購入。
このぐらいは読んで理解したいなぁ、いつかは自分のものにしたいなぁと思った本。
当時普通に買えたが”函數” と書かれている戦前の教養に溢れている本。(末綱さんは高木貞治の直弟子)

解析的整数論は評価関数を定義してゴニョゴニョ計算していると矛盾になるので背理法成立とか、ある項より先で指定した領域・差分に飛ぶこむから、といったものが一杯あった気がする。

Transcendental Number Theory : Alan Baker : Cambridge University Press : ISBN 9780521397919 : 1990

そのものズバリ 超越数論 です。 160 Pageぐらいの簡潔なPaperBackですが、Bibliography と Further Publicationsが 30 Pageぐらいを占めていて、まともに読もうとしたら多分本箱1つぐらいは覚悟する必要がありそうな本。

The Origins / Linear forms in logarithms / Lower bounds for linear forms / Diophantine equations / Class numbers of imaginary quadratic fields / Elliptic functions / Rational approximations to algebric numbers / Mahler’s classification / Metrical theory / The exponential Theory / The Siegel-Shidlovsky theorems / Algebraic Independence

代数幾何は高い山だが色んなルートもあり登ろうとする人も多いが、超越数論は登る人は少なく競争も少ない。しかし急峻すぎてどこから登っていいのかさえ分からない・・・。
円積問題を最終的に解決した由緒正しき分野ではあるが、”でない”分野は見通しが立てにくく難しいと思う。
まあ、その高い頂を遠くに望む麓の町までもたどり着いてないのではありますが・・・

A concise introduction to the thory of numbers : Alan Baker : Cambridge University Press: ISBN 9780521286541 : 1990

Alan Baker による数論入門です。 こちらは 90 Page の PaperBack ですが、濃縮度満点で、Transcendental Number Theory を読むために”最低限”必要なことが”メモ”されているようです・・・ 150Km/h越えの球を投げるピッチャーのキャッチボールは 120Km/h越えってことですかね・・・ 薄さとタイトルに騙されてはいけない

Divisibility / Arithmetical functions / Congruences / Quadratic residues / Quadratic forms / Diophantine approximation / Quadratic fields / Diophantine equations

まあ、16ページぐらいの 8章の Diophantine equations が  The Pell equation / The Thue equation / The Mordell equation / The Fermat equation / The Catalan equation / Further readings / Exercises となっていることから察しましょう。(普通に原書購読 今日は1ページも進んだねぇ~の世界ですな)



将棋の渡辺くん ①

たまにはマンガ。

最近竜王に復活した渡辺明の”奥さん”が描いた漫画。
最初、原作・原案が奥さんで、専門作家が描いているのかなと思ったら、本人。しかも、どこかで見た名前。伊奈めぐみ。女流育成会にもいたので、それで覚えていた。兄貴も将棋プロ。まあ、軽い気持ちで買いました。

読んでびっくり、こんなにおもろいマンガは久しぶりかも。
といっても、ストーリー展開がどうだとか、画風がどうかということは一切なし。”素材”が秀逸。 渡辺永世竜王が、こんな人だったとは・・・。 特に、ぬいぐるみ関連の話は、正直”コペルニクス的”世界の大転換を覚える。

まあ、こういうキャラでしかも別冊少年マガジンに連載を許しているところが、渡辺明の本当の強さなのかなと思う。

昔、田中寅先生の本で、羽生の天下を脅かす次世代として当時奨励会の渡辺明を挙げていて、ああ一流の専門家による才能の評価はすごいもんだなと後になって思った記憶があるが、どちらかというとイメージは”魔太郎”の方だったけど、う~ん、違った。

夏に②が出るらしいので今から楽しみ。

将棋の渡辺くん① 伊奈めぐみ 講談社 ワイド 838
¥800+Tax ISBN-978-4-06-395559-0

50歳からの「人生をシンプルにする100の方法」

タイトルで買いました。 女性向けです。 でも、読むところがいっぱいあります。
そろそろ人生の終着点にむけて、準備をしなければいけません。
単純化して地に足をつけて持っているものを使って前向きに生きましょうという話です。作者は定年して時間ができてからの経験をもとに語っています。
一方、海外経験のある実はスキルレベルの高い人です。 
ちょっとした心がけが必要だとも言ってます。 
昔の人は言いました。 分を知る。 

「人生をシンプルににする100の方法} 井上 和子 知的生きかた文庫(三笠書房)
¥571+Tax ISBN 978-4-8379-8221-0

デタラメにひそむ確率法則

この本で教えられた”Monty Hall”の問題が面白い。
3つのうち1つだけあたり。1つ選んだら、のこりの2つの窓の内”はずれ”をOpen。
さあ、ここで、最初のままにするのか、残りの1つに切り替えるのか、どちらが確率が高いかという問題。 
正解は選択を変える方が高い。 最初の選択で 1/3 と 2/3 の 2/3にしましょうということですが、”確率”の本質を考え込まされる良書です。
(そもそもを知らなければ、どちらを選んでも同じだから 1/2ではないかと・・・)

大数の法則もきちんと書かれているし、確率と統計の理解・復習がこの1冊でできます。

非常に低確率な事象も、試行が増えればほぼ”確実に”発生するという話も、これを理解していれば、原発の安全神話もここまでひどくならなかったかと思う。(ほとんどありえないことも”起きる”という前提で考えるのが確率論的には正しい・・・)

正直言うと、まだ確率の本質はわかっていない。むしろ、この本を読んで”深く”悩んでしまった。 確率の定義って、トートロジーではないのかな・・・ 確率的なものを”確率事象”と定義している気もする。確率的事象は確率的事象だからと。
まあ、極論すれば全事象を積分すれば1になる関数の測度論かなと。 コルモゴロフの公理系からスタートすれば、あとは明瞭にわかるけど、そもそもがどうなのと思っている。公理系に”確率”も乗っけて扱えるようにしたのが現代数学のすごさだけど。
 今のところの確率理解は、カードを引くまで確率1/3の雲みたいな確率がもやもやしていて、カードを引くと結果がYES/NOに確定するというイメージを持っている。

実際に1万回ぐらいの試行をさせてデータをとっているところが、実はこの本のすごいとこで、大数の法則が具体的な実績で体感できているのもすごい。

普通の確率統計の本で書かれていない”本質的”な解説が散りばめられている、とてもキラキラした本。 この本に出会えて幸せと思う自分がいる。

デタラメにひそむ確率法則 小林道正 岩波科学ライブラリー 195
1200円+TAX ISBN-978-4-00-029595-6

至高の音楽

無性に書かれている曲が聞きたくなる。 そんな本です。

めちゃくちゃおもろいおっさん というのが、テレビ等でみる百田尚樹のイメージだ。
いうことが極右、国粋主義者、めげない、折れない、タブーは一切なし、止まることなくしゃべり倒し、儲けること・本が売れることが大好きという俗物根性丸出し、でも作品は名作・大作が目白押し・・・。コーヒーを浴びるように飲んで書きまくったバルザックのような大作家が突然この世に出てきた観がある。

そんな百田尚樹の創作の舞台裏を自己紹介しているのが、この本。

何かに集中するとき、何かを生み出す時、人は音楽に包まれていたい生き物だと思う。しかも、圧倒的にクラシック。
歳をとってから作家デビューをした百田尚樹にとっては、音楽の蓄積がいかに良い下準備・助走になったことか。

驚くべきは、彼のクラシックに対する造詣の深さ。下手な評論家よりも深く、かつ面白い。 同じ曲でも、本当にたくさんの演奏を聴いている。 普通は2~3枚が良いところだが・・。しかも、本格的で音楽理論に基づいた評価・分析。 いったいこのおっさんは何者だ。

それにしても、自分のコレクションでカバーできてない名曲がこんなにもあったとは・・・。

至高の音楽 クラシック「永遠の名曲」の愉しみ方 百田尚樹
PHP新書 1021 ¥780+Tax ISBN-978-4-569-82977-7

ギリシア人の物語Ⅰ 民主政のはじまり

本当は全部読んでから書くべきで、買って数ページ読んで書くのは反則。
でも、書きたかったのは、なんで塩野七生はカエサルかアウグストゥスでローマ人の物語を止めなかったのかというはなし。
ボルジアやベネチア、フィレンツェなど中世イタリアを描いていた頃が作家としての頂点だったのかなと思う。 ローマ人の物語をライフワークにしたかったこと、特にカエサルを描きたかったことはわからないでもない。 しかし、そのあとは、義務感で書いていたのではないか、そのために、他に書くことができたはずでは、と思ってしまう。
(どうせなら、東ローマを滅亡まで書いてくれたほうが面白かったかもという矛盾したきもちもある・・)

それだけ、待っていた作品が出たということでもある。

ヨーロッパはグレコローマンとキリスト教とゲルマンが融合して出来たと習ったことがあるが、今でもローマの末裔はイタリアをはじめ各地にいるが、”偉大な”ギリシア人の末裔は、どこにもいない。
その失われた幻影を如何に描くか、興味がつきない。(最後まで完走を願う)

ギリシア人の物語 I 民主政のはじまり 塩野七生 新潮社
¥2800+Tax ISBN-978-4-10-309639-9

ヘンタイ美術館

山田五郎は僕の好みだ。 タモリやみうらじゅんやそう言ったマイナーだけど深い世界を提示してくれる人は大好きだ。
だけど、今回この”ふざけた”タイトルの本をてにして認識が改まった。
山田五郎の美術に対する造詣は只ならぬものがある。
例えば、当たり前なのかも知れないが、ルネッサンスの基準はラファエロであり、ダビンチやミケランジェロは傍流であるといった話はなかなかきけない。
アングルやドガ、マネの内面にまで踏み込んでたけし軍団を引き合いに出す柔軟さ。
西洋絵画の歴史をこんなにコンパクトに明晰に示してくれた書物は見たことがない。 タイトルがにだまされてはいけない。

ヘンタイ美術館 山田五郎、こやま淳子 ダイヤモンド社
¥1500+Tax ISBN 978-4-478-06608-9

珈琲店タレーランの事件簿

やっと読み終えた
長い期間読み続けて未だ読み終えていない本はあまたある。中には中学の頃から読みはじめているダンテの神曲のようなものもあるが、まあこれは挫折したというのが正しい。
しかし、タレーランは正真正銘、読み続けて(正確には持ち続けて)いた本で、続編が出れば買いで既に4冊あるのに、やっと1冊目を読み終えた。

美人バリスタがいれるコーヒーと謎解き。

面白い、が少し違和感がある。
事件の動機に不自然さがあると思う。
人間心理の深い部分を描こうとして、滑った感じ。

まあ、しかし、描かれている世界は美しい。薫るという言葉がぴったり。人物も情景も細かい蘊蓄も。
それだから、延々と少しずつ読み続けていられたと思う。

カバーのイラストも秀逸だが、イメージが固定してしまう危険性も。

まだ、3冊も残っているのは幸せなのか・・・

珈琲店タレーランの事件簿 岡崎琢磨 宝島社文庫
¥648+Tax ISBN 978-4-8002-0072-3