ホーム » 本について

本について」カテゴリーアーカイブ

ジャンル

将棋の渡辺くん ①

たまにはマンガ。

最近竜王に復活した渡辺明の”奥さん”が描いた漫画。
最初、原作・原案が奥さんで、専門作家が描いているのかなと思ったら、本人。しかも、どこかで見た名前。伊奈めぐみ。女流育成会にもいたので、それで覚えていた。兄貴も将棋プロ。まあ、軽い気持ちで買いました。

読んでびっくり、こんなにおもろいマンガは久しぶりかも。
といっても、ストーリー展開がどうだとか、画風がどうかということは一切なし。”素材”が秀逸。 渡辺永世竜王が、こんな人だったとは・・・。 特に、ぬいぐるみ関連の話は、正直”コペルニクス的”世界の大転換を覚える。

まあ、こういうキャラでしかも別冊少年マガジンに連載を許しているところが、渡辺明の本当の強さなのかなと思う。

昔、田中寅先生の本で、羽生の天下を脅かす次世代として当時奨励会の渡辺明を挙げていて、ああ一流の専門家による才能の評価はすごいもんだなと後になって思った記憶があるが、どちらかというとイメージは”魔太郎”の方だったけど、う~ん、違った。

夏に②が出るらしいので今から楽しみ。

将棋の渡辺くん① 伊奈めぐみ 講談社 ワイド 838
¥800+Tax ISBN-978-4-06-395559-0

50歳からの「人生をシンプルにする100の方法」

タイトルで買いました。 女性向けです。 でも、読むところがいっぱいあります。
そろそろ人生の終着点にむけて、準備をしなければいけません。
単純化して地に足をつけて持っているものを使って前向きに生きましょうという話です。作者は定年して時間ができてからの経験をもとに語っています。
一方、海外経験のある実はスキルレベルの高い人です。 
ちょっとした心がけが必要だとも言ってます。 
昔の人は言いました。 分を知る。 

「人生をシンプルににする100の方法} 井上 和子 知的生きかた文庫(三笠書房)
¥571+Tax ISBN 978-4-8379-8221-0

デタラメにひそむ確率法則

この本で教えられた”Monty Hall”の問題が面白い。
3つのうち1つだけあたり。1つ選んだら、のこりの2つの窓の内”はずれ”をOpen。
さあ、ここで、最初のままにするのか、残りの1つに切り替えるのか、どちらが確率が高いかという問題。 
正解は選択を変える方が高い。 最初の選択で 1/3 と 2/3 の 2/3にしましょうということですが、”確率”の本質を考え込まされる良書です。
(そもそもを知らなければ、どちらを選んでも同じだから 1/2ではないかと・・・)

大数の法則もきちんと書かれているし、確率と統計の理解・復習がこの1冊でできます。

非常に低確率な事象も、試行が増えればほぼ”確実に”発生するという話も、これを理解していれば、原発の安全神話もここまでひどくならなかったかと思う。(ほとんどありえないことも”起きる”という前提で考えるのが確率論的には正しい・・・)

正直言うと、まだ確率の本質はわかっていない。むしろ、この本を読んで”深く”悩んでしまった。 確率の定義って、トートロジーではないのかな・・・ 確率的なものを”確率事象”と定義している気もする。確率的事象は確率的事象だからと。
まあ、極論すれば全事象を積分すれば1になる関数の測度論かなと。 コルモゴロフの公理系からスタートすれば、あとは明瞭にわかるけど、そもそもがどうなのと思っている。公理系に”確率”も乗っけて扱えるようにしたのが現代数学のすごさだけど。
 今のところの確率理解は、カードを引くまで確率1/3の雲みたいな確率がもやもやしていて、カードを引くと結果がYES/NOに確定するというイメージを持っている。

実際に1万回ぐらいの試行をさせてデータをとっているところが、実はこの本のすごいとこで、大数の法則が具体的な実績で体感できているのもすごい。

普通の確率統計の本で書かれていない”本質的”な解説が散りばめられている、とてもキラキラした本。 この本に出会えて幸せと思う自分がいる。

デタラメにひそむ確率法則 小林道正 岩波科学ライブラリー 195
1200円+TAX ISBN-978-4-00-029595-6

至高の音楽

無性に書かれている曲が聞きたくなる。 そんな本です。

めちゃくちゃおもろいおっさん というのが、テレビ等でみる百田尚樹のイメージだ。
いうことが極右、国粋主義者、めげない、折れない、タブーは一切なし、止まることなくしゃべり倒し、儲けること・本が売れることが大好きという俗物根性丸出し、でも作品は名作・大作が目白押し・・・。コーヒーを浴びるように飲んで書きまくったバルザックのような大作家が突然この世に出てきた観がある。

そんな百田尚樹の創作の舞台裏を自己紹介しているのが、この本。

何かに集中するとき、何かを生み出す時、人は音楽に包まれていたい生き物だと思う。しかも、圧倒的にクラシック。
歳をとってから作家デビューをした百田尚樹にとっては、音楽の蓄積がいかに良い下準備・助走になったことか。

驚くべきは、彼のクラシックに対する造詣の深さ。下手な評論家よりも深く、かつ面白い。 同じ曲でも、本当にたくさんの演奏を聴いている。 普通は2~3枚が良いところだが・・。しかも、本格的で音楽理論に基づいた評価・分析。 いったいこのおっさんは何者だ。

それにしても、自分のコレクションでカバーできてない名曲がこんなにもあったとは・・・。

至高の音楽 クラシック「永遠の名曲」の愉しみ方 百田尚樹
PHP新書 1021 ¥780+Tax ISBN-978-4-569-82977-7

ギリシア人の物語Ⅰ 民主政のはじまり

本当は全部読んでから書くべきで、買って数ページ読んで書くのは反則。
でも、書きたかったのは、なんで塩野七生はカエサルかアウグストゥスでローマ人の物語を止めなかったのかというはなし。
ボルジアやベネチア、フィレンツェなど中世イタリアを描いていた頃が作家としての頂点だったのかなと思う。 ローマ人の物語をライフワークにしたかったこと、特にカエサルを描きたかったことはわからないでもない。 しかし、そのあとは、義務感で書いていたのではないか、そのために、他に書くことができたはずでは、と思ってしまう。
(どうせなら、東ローマを滅亡まで書いてくれたほうが面白かったかもという矛盾したきもちもある・・)

それだけ、待っていた作品が出たということでもある。

ヨーロッパはグレコローマンとキリスト教とゲルマンが融合して出来たと習ったことがあるが、今でもローマの末裔はイタリアをはじめ各地にいるが、”偉大な”ギリシア人の末裔は、どこにもいない。
その失われた幻影を如何に描くか、興味がつきない。(最後まで完走を願う)

ギリシア人の物語 I 民主政のはじまり 塩野七生 新潮社
¥2800+Tax ISBN-978-4-10-309639-9

ヘンタイ美術館

山田五郎は僕の好みだ。 タモリやみうらじゅんやそう言ったマイナーだけど深い世界を提示してくれる人は大好きだ。
だけど、今回この”ふざけた”タイトルの本をてにして認識が改まった。
山田五郎の美術に対する造詣は只ならぬものがある。
例えば、当たり前なのかも知れないが、ルネッサンスの基準はラファエロであり、ダビンチやミケランジェロは傍流であるといった話はなかなかきけない。
アングルやドガ、マネの内面にまで踏み込んでたけし軍団を引き合いに出す柔軟さ。
西洋絵画の歴史をこんなにコンパクトに明晰に示してくれた書物は見たことがない。 タイトルがにだまされてはいけない。

ヘンタイ美術館 山田五郎、こやま淳子 ダイヤモンド社
¥1500+Tax ISBN 978-4-478-06608-9

珈琲店タレーランの事件簿

やっと読み終えた
長い期間読み続けて未だ読み終えていない本はあまたある。中には中学の頃から読みはじめているダンテの神曲のようなものもあるが、まあこれは挫折したというのが正しい。
しかし、タレーランは正真正銘、読み続けて(正確には持ち続けて)いた本で、続編が出れば買いで既に4冊あるのに、やっと1冊目を読み終えた。

美人バリスタがいれるコーヒーと謎解き。

面白い、が少し違和感がある。
事件の動機に不自然さがあると思う。
人間心理の深い部分を描こうとして、滑った感じ。

まあ、しかし、描かれている世界は美しい。薫るという言葉がぴったり。人物も情景も細かい蘊蓄も。
それだから、延々と少しずつ読み続けていられたと思う。

カバーのイラストも秀逸だが、イメージが固定してしまう危険性も。

まだ、3冊も残っているのは幸せなのか・・・

珈琲店タレーランの事件簿 岡崎琢磨 宝島社文庫
¥648+Tax ISBN 978-4-8002-0072-3

談志が死んだ

まあ、面白い。 なにがって、談志が。

よくもまあ、こんな男の弟子だったもんだなと尊敬さえ覚えてしまう。
とにかく、ケチで見栄っ張り、わがままで小心者、短気で言い出したらあとにはひかない、それでいてとにかく天才、落語愛にあふれて、誰よりも芸に鋭く純粋。寄席から追放されても個性の強い多くの弟子を世に送り出し、笑点を始めたアイデアマン、政界さえもしくじりの対象、騒動を起こしてもそれをネタに生まれ変わらせる芸能の神。ついには、その声を失うというドラマ性。
ただ、どこか”判断”を家元に委ねているのが一門の欠陥か。
師匠の罵声一つで震え上がる世界がまだあることに驚く。

最後の最後に”あれこれって小説なの?”となる。

どこまでがFactでどこまでがFictionかもわからないが、こんな話は”作れない”と思う。

談志が死んだ  立川談四楼 
新潮文庫 ¥520+Tax ISBN-978-4-10-127322-8

2015年 中国の真実

今後の中国がどうなっていくかについて知りたい場合は、この本を読むべし である。

長谷川慶太郎の”中国ダメダメ”論のようには明確に未来像を断言しているわけではないが、地に足がついた詳細な情報に基づいて今の中国と周辺国の今の状況と近未来を描いている。
習近平の愚作により反中国同盟が形成された、といった昨今の表面的で楽観的な見通しが世の中には流れている。(日本の願望もそこには入っている)。
本書はそれだけの立場にはたっておらず、各国の微妙なポジションと内実について触れているところはさすがである。
また、権力闘争がすべて”であるという中共の本質にも触れていて、なぜ外交的に”あんな愚作”を繰り返すのかという疑問に間接的に答えを出している。

ただ、特に、石平さんの習近平たたきは個人的怨念があるのかと思うくらい。宮崎さんにしても、独自のスタンスで持論(たとえば第七艦隊購入論)を展開しているので、割り引いて読む必要も当然ある。 が、本書の価値がそれで下がるわけではない。

世の中には想像もできない悪者がいるという前提にたてば、最悪の中共が最悪のたくらみを続けながら、簡単には倒れないという可能性にも備えておく心構えが必要と思わせられる警世の書。

2015年 中国の真実 中国は習近平に潰される? 宮崎 正弘・石平 WAC出版 ¥900+TAX  ISBN 978-4-89831-704-4

中国壊死

宮崎正弘・宮脇淳子による歴史からみた中国の診断。

一番残念なのは、これからどうなるかのシナリオ・シュミレーションがあまり書かれていなかったこと。 まあ、二人のことだからか、知っていることや考えは持っていると思うが、この程度の書籍にはもったいないし、怖くてかけないよね。

それ以外は、期待通りの”新たな”知見に満ち溢れている本でした。

特に、かつてのモンゴル・元朝と今のモンゴルとは連続性が乏しいということや、みんなが期待(?)するほど満州・ウイグル・チベット・モンゴルが決起して中国が漢民族の本来の領域に分裂するのは難しいといった”地に足がついた”評価も一読の価値あり。

まあ、バラバラにならないから、内側から壊死するわけだね。

カタストロフィー理論というのがあって、不連続な変化がどこで起きるかはわかる方法はないというもので、それをネタにロバートゲラーが地震予測は無意味と噛み付いていたのを思い出した。 もうすぐ倒れるのは分かるがいつ・どんな形で倒れるかまでは分からない崩れかけの煙突みたいなもんなのだな、中共は。

それにしても、20世紀最大の民族浄化はナチスではなく、中共でしかも現在進行形。 明治の御代まであった大帝国清朝を作った満州人は消されてしまった。

中国壊死 ビジネス社 ¥1,100+Tax
宮崎正弘・宮脇淳子 ISBN978-4-8284-1851-3