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談志が死んだ

まあ、面白い。 なにがって、談志が。

よくもまあ、こんな男の弟子だったもんだなと尊敬さえ覚えてしまう。
とにかく、ケチで見栄っ張り、わがままで小心者、短気で言い出したらあとにはひかない、それでいてとにかく天才、落語愛にあふれて、誰よりも芸に鋭く純粋。寄席から追放されても個性の強い多くの弟子を世に送り出し、笑点を始めたアイデアマン、政界さえもしくじりの対象、騒動を起こしてもそれをネタに生まれ変わらせる芸能の神。ついには、その声を失うというドラマ性。
ただ、どこか”判断”を家元に委ねているのが一門の欠陥か。
師匠の罵声一つで震え上がる世界がまだあることに驚く。

最後の最後に”あれこれって小説なの?”となる。

どこまでがFactでどこまでがFictionかもわからないが、こんな話は”作れない”と思う。

談志が死んだ  立川談四楼 
新潮文庫 ¥520+Tax ISBN-978-4-10-127322-8