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動的な人材育成

このまえ読んだ本が、”「坂の上の雲」では分からない旅順攻防戦―乃木司令部は無能ではなかった ”というもの。詳細な検証に基づき、旅順攻防戦の実態を明らかにした力作。
一番インパクトがあったのが、旅順要塞というが、実態は3重に引かれた防衛ラインであったことです。
城壁の一箇所を突破すればそれで終わる単純なものではなく、砦を単に取り合う戦いでもない。
相互に連携を取り合った、拠点を結ぶ勢力範囲があり、一部を突破しても、丁度傷ついた箇所を自動修復するように、攻撃をそこに集中して、奪還することを繰り返す、動的な戦線の一進一退の戦いが展開された。
要塞にこもって兵が集中していれば、そこに砲火を集中されて損害が多く発生するため、小さな単位で分散して勢力圏を確保する戦いになった。
その結果、如何に多くの兵力を消耗させるかという悲惨な戦いになった。
日露戦争の勝敗の帰趨は、実に旅順の攻防戦にあったという見方も新鮮でした。

ところで、このような戦いになると、逐次変更される状況を的確に捉え、迅速な対策をうつ能力が指揮・指令部に求められる。実に柔軟な発想と実行力がなければ、凡将のそしりをうけてしまう、実に100年前に、難しい戦いを、我々の先祖は行っていたのだなと思う。

硬直した組織と人事制度で戦っていた時代は終わり、日々状況によって変わる社会情勢に適応し、異なる価値観をもった社員を、適材適所で生かすことが求められている。
リーダーに求められる能力は、日露戦争当時の司令官の能力に近いのではと思う。
求められる人材像が細分化されて、統一化することが難しい時代には、どれだけ柔軟で迅速な育成ができるかという点に、企業の存亡がかかっていると思う。
(一色に組織を染め上げると、変化の激しい時代では、大量の人材不良在庫を抱えることになり兼ねないという、厳しい現実がある。)

人の組織という点で、共通のテーマがあると改めて思う。