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なんだろうね この人は

日下公人など、書籍がでたら内容や価格をチェックしないでそのままレジに持っていく著者が数名いる。 どうやら、この人もそのカテゴリーに入ったようだ。

折れそうな心の鍛え方 (幻冬舎新書)
日垣 隆
幻冬舎

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まず、タイトルがよい。

最近、うちの会社ではいろいろトラブルが起きている。
それらは、複雑な要因だったり、担当者のケアレスミスだったり、どう考えても不可抗力に見えるものだが、よくしたもので必ずどこかに原因があり、何らかの対策がうてる。(うてなくても、打つのがこの業界のお約束ですが・・・)
しかも、たちが悪いことに、”私もこんなことができたのでは”というちょっとの後悔が私にもあったりする。(たとえば、ミスをした人に仕事を頼みすぎたのが原因だったのか、とか、仕事の精度が不安だったからもっと早く外してあげればよかったとか・・・)
そんな私だから、直属の部下がしでかしたりしたら、たぶん心が持たない。
(ので、幸いなことに、今私に部下はいません。)

そこに、このタイトル。

買って読まずにはいられません。

そして、”何があったの?”と思ってしまいます。

確かに、写真を見ると、なにかつらそうな表情をいつもしているように見える著者です。 でも、論旨、著述をみると、とても強固な精神の持ち主に見えます。
自ら信ずるところに従って、白黒をはっきりさせるまで闘う人です。
しかも、常にロジカルに、論旨の組み立ての鮮やかさ、斬新さがウリです。
が、そんな著者が、非常に過酷な状況に置かれてしまい、コップの水が溢れてしまい、落ち込んでしまった状況から、”自力”で復活をしたという話です。

旧約聖書のヨブ記を思い出してしまいました。
著者はあまりに透徹な知性を持っているがゆえに、神は試練を与えたのかとさえ思います。(書かれていることが本当であればですが・・・太宰の愛読者なもので・・・)

本の後半は、映画評、泣ける映画ということで、ここは私的にはどうでもよいです。(そう言いながら、いくつかの映画を探して買うことになると思いますが。)

自分の弱さを認めてしかも鍛えることで、”立ち直る”方法が書かれています。

”自立”している自我をもっていない人にとっては参考にするのは危険だと思いますが、(ということは、ほとんど日本人には、私を含めて危険ですが)いろんなことがあって心が折れそうになった時に読めば、立ち直りのヒントにはなると思います。

この本を読んだせいか、自分が年をとったせいか、最近なにかすべて”ケセラセラ”になりつつあります。
よくいえば、心が強くなったのかなと思うし、逆にいえば鈍くなったのかなとも思います。(体が衰えた分、心が強くなったと思いたい。)

心が本当に折れてしまう前に、何か自分以外の要因で追い込まれたときに、この本を手にしてよむとよいことがあるかも知れません。