手持ちの数学書について:解析的整数論・超越数
学生の頃から本を買い漁るのが趣味というか信仰の一つだった。
そのため、結構なライブラリになっていると思う。
特に最近の出版事情なり教育状況を見ると私はとても恵まれた時代に生きていたのだなと思う。
世界的な学者・研究者が多くの出版物を世に出していて、それが比較的安価に入手できた幸せを今思う。
(小平邦彦先生の単位を持っているのは私の密かな自慢です。)
おかげで結構なスペースを”宝物”に占拠されていて、その”宝物”には”いつか”が来ることをズーッと待っている状態。
還暦を過ぎて、その”いつか”が永久に来ない可能性が現実のものになってきている。
そこで、少しだけ、その”宝物”がなんであるかを確認したいと思いはじめた。
まずは解析的整数論 または 超越数論 の本について簡単に記述+所感を期していきます
*解析的整數論 : 末綱 恕一 : 岩波書店: ISBN 9784000051798 : 1990/11/5 第4刷
私が一番懇意にして頂いた平野先生の専門分野でもある解析的整数論の名著。
1. リーマンのζ函數
2. ヘッケのL函數
3. ディリクレのL函數
4.アルチンのL函數
5. 約數問題
素数分布定理ぐらいは原書購読でやった記憶があるので、その延長線上に輝く名著として購入。
このぐらいは読んで理解したいなぁ、いつかは自分のものにしたいなぁと思った本。
当時普通に買えたが”函數” と書かれている戦前の教養に溢れている本。(末綱さんは高木貞治の直弟子)
解析的整数論は評価関数を定義してゴニョゴニョ計算していると矛盾になるので背理法成立とか、ある項より先で指定した領域・差分に飛ぶこむから、といったものが一杯あった気がする。
*Transcendental Number Theory : Alan Baker : Cambridge University Press : ISBN 9780521397919 : 1990
そのものズバリ 超越数論 です。 160 Pageぐらいの簡潔なPaperBackですが、Bibliography と Further Publicationsが 30 Pageぐらいを占めていて、まともに読もうとしたら多分本箱1つぐらいは覚悟する必要がありそうな本。
The Origins / Linear forms in logarithms / Lower bounds for linear forms / Diophantine equations / Class numbers of imaginary quadratic fields / Elliptic functions / Rational approximations to algebric numbers / Mahler’s classification / Metrical theory / The exponential Theory / The Siegel-Shidlovsky theorems / Algebraic Independence
代数幾何は高い山だが色んなルートもあり登ろうとする人も多いが、超越数論は登る人は少なく競争も少ない。しかし急峻すぎてどこから登っていいのかさえ分からない・・・。
円積問題を最終的に解決した由緒正しき分野ではあるが、”でない”分野は見通しが立てにくく難しいと思う。
まあ、その高い頂を遠くに望む麓の町までもたどり着いてないのではありますが・・・
*A concise introduction to the thory of numbers : Alan Baker : Cambridge University Press: ISBN 9780521286541 : 1990
Alan Baker による数論入門です。 こちらは 90 Page の PaperBack ですが、濃縮度満点で、Transcendental Number Theory を読むために”最低限”必要なことが”メモ”されているようです・・・ 150Km/h越えの球を投げるピッチャーのキャッチボールは 120Km/h越えってことですかね・・・ 薄さとタイトルに騙されてはいけない
Divisibility / Arithmetical functions / Congruences / Quadratic residues / Quadratic forms / Diophantine approximation / Quadratic fields / Diophantine equations
まあ、16ページぐらいの 8章の Diophantine equations が The Pell equation / The Thue equation / The Mordell equation / The Fermat equation / The Catalan equation / Further readings / Exercises となっていることから察しましょう。(普通に原書購読 今日は1ページも進んだねぇ~の世界ですな)
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