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鉄道は究極のプロジェクトマネージメント

最近読んでいるのは、「定刻発車」という、鉄道がなぜ正確に動いているのか
を説明している文庫本です。
秒単位の奇跡のダイヤを、どう実現しているかが、詳細に書かれています。

そこにあるのは、ありとあらゆる状況を想定されて作られた運行計画と、
それを当たり前のように実現していく関係者(駅員、保線係、運転手・・・)。

発生した問題(遅延)を、どう回復するか、それを実現しているか、は、
究極のプロジェクトマネージメントの姿だと思います。

抽象的に、リスク管理が重要だと言われてもピンと来ませんが、駅で人身事故発生の場合、該当列車を退避させて、通常と違うホームと線路を活用して、あっという間に運転を再開させる。そのための設備と、ダイヤに事前に余裕として組み込まれているところは、リスクを事前に洗い出し、対策を立てておくという、リスク管理の本質を突いています。

また、指令室と現場とのやり取りが、トラブルプロジェクトをどうリモートでコントロールするかというPMOのあるべき姿を見せていると思います。

また、運転士、駅員を始め関係者が毎駅数秒ずつの回復を行い、最終的には何事もなかったかのように、回復するところなど、傷をふさいで直してしまう人体の回復力に近いものを感じ、さらに、肝心なのは、各所のメンバーのモラルの高さとスキルの高さ(回復することを当たり前のことと認識して、実行する)も、プロジェクトの理想の姿だと思う。

大正年代に日本の鉄道は1分以下の精度で運行していたというから、プロジェクトマネージメントは、本当は最先進国なのかも知れない。